ドラえもんに言われて募金する
床に横たわる。腹筋運動をする時のように両脚を閉じてのばす。そして上半身を起こす。その後、右の足首に力を入れてみる。足裏と床とがほぼ直角になる。
次に左の足首に力を入れてみる。がんばって力を入れてみる。足裏と床との角度はおよそ45度。それ以上はどうやっても持ち上がらない。
どうやら私は軽度のポリオらしい。現在、日本ではポリオの新しい発症はないようだが、世界的にはまだ存在する。テレビを見てたら、公共広告機構のCMでドラえもんが、電話をかけるだけでポリオワクチンのための300円の募金ができるというのを呼び掛けていたので、2回くらい募金した。
以下は「ポリオ(小児麻痺・急性灰白髄炎)について」から引用。
ポリオウイルスに感染した者のうち、1%未満が、弛緩性の麻痺(麻痺型)となります。弛緩性の麻痺は、右半身と左半身では違いがあり、非対称的に起こります。感覚の消失は見られません。発病から1年経っても筋力低下や麻痺の回復がみられない場合には、永続的な後遺症となるかもしれません。
弛緩性の麻痺(麻痺型)については、脊髄麻痺型、球麻痺型、脊髄麻痺・球麻痺型の三つの型に分類されます。脊髄麻痺型がもっともよく見られ、麻痺患者の79%を占めます。左右が非対称な麻痺で、脚の麻痺が多いです。
普通に歩こうとする時、普通の人は、かかとが地面に着きそれからつま先が地面に着く。それが右左右左と交互に続く。
私の場合、右脚はそうなるが、左脚はつま先が先に地面に着きその後かかとが地面に着く。みかけ上、変である。普通の人以上に上下動が大きくなる。
内臓なら動かせなくても当然だが、普通の人なら動かせるはずの自分の体の一部なのに、左脚や左手が動かない。10歳の時に左脚の手術をしたが、完全には治らなかった。
小学校のとき、音楽の先生がクラスの全員に、「ドラムを叩いてみなさい」と言った。私もスティックを持って叩いてみた。しかし、左の足首から先が自由にならないのと同様、左手も手首から先が思うようには動かない。それを見ていた同級生Kが言った。
「変なのー。ほら、こんなんだったぜ」
Kはそう言って私の不格好な叩き方をまねてみせた。笑う他の同級生達。それに類することがたびたびあり、私は母に訴えた。母は担任の先生に連絡をした。
担任の先生は皆に言った。
「SY君は小児まひっていう病気だから少し手や足が動きにくいことがあるのよ。」
その後、同級生達は私を見るたび言った。
「まひまひ、まひまひまひー」
………ちっともわかってない。僕は何か悪いことをしたのか?確かに僕はちょっと変かもしれないけど、何でそこまで言われなきゃいけないんだろ?
大人になってからはあまり悩まなくなったが、車の免許取得の時は困った。左足首が動かないということは、半クラッチがうまくできないということである。何とかがんばって取ったが、オートマ限定免許が当時あれば楽だったと思う。この季節になるとバスが運転できたらいいなあと思うのだが、大型免許を取るためにはオートマだけではきっとだめなのだろう。
就職してからのある日、同僚のSさんからパソコンの質問を受けていて私がキーボードを打っている時に、彼女が言った。
「SYさんは、右手は凄く速く動くのに左手は指一本なのね。」
………以上述べてきたようなことを彼女は当然知らなかったのだから言われてもしょうがないのだが。Sさんには日頃からお世話になっているので別に根に持っているわけではない。今日は「(このブログ、)よく毎日書けるねー、マニアックだけど(笑)」とも言われたが、事実なので文句を言うべきでもない。
皆おなじ人間で、でもひとりひとり違うところがあって、その中にはいいところも悪いところもある。他人を好いたり嫌ったりするのは自由だけど、理由にならない理由でのけ者にするのだけはごめんだと今日は強く思った。
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